副業

株で大失敗した話

株のイメージ変化と10年の失敗の教訓

「株」という言葉を聞いて、どのようなイメージを抱くだろうか。 かつての私が最初に株に出会ったときのイメージは、何枚ものモニターが並ぶ部屋で、常にチャートに張り付き、一瞬の隙を突いて売買を繰り返す特殊な人々の世界だった。 しかし、現在はどうだろうか。 パソコンだけでなく、スマートフォンのアプリやAIによる投資先選定など、テクノロジーの進化によって、株は極めて大衆的なコンテンツになった。 新NISAの普及も手伝い、投資は「特別なこと」ではなくなりつつある。 私はこれまで、数ある副業(株を副業と呼ぶべきかは議論の余地があるが)の中でも、株を10年ほど継続してきた。 10年続けているからといって、決して「必勝法」を編み出したわけではない。むしろ、数えきれないほどの失敗を積み重ねてきた。 ここからは、実際に身銭を切り、市場の波に揉まれた者でなければ分からない「失敗の教訓」を共有したいと思う。 これは、これから投資を始める者、あるいは今まさに苦境に立たされている者への、私からの警告であり、エールである。

2つの利益獲得方法と初めてのIT株購入

株式運用には、大きく分けて2つの利益獲得方法がある。「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」だ。 世間一般でイメージされるデイトレーダーのような手法は、主にキャピタルゲインを狙ったものだ。 私もかつて、大きな利益を夢見て、自分がIT関連の会社に勤めていることもあり、IT系の会社の株を100株(約30万円)購入した。

一瞬の含み益がもたらす労働意欲の喪失

市場が開いた直後、アプリで値動きを確認すると、保有株が35円上昇していた。 100株保有しているため、含み益は3,500円。「わずか数分で3,500円が手に入った」という事実は、私に凄まじい高揚感をもたらした。 当時のアルバイト時給が800円〜900円程度だったことを考えると、3〜4時間の労働に相当する金額が一瞬で生み出されたことになる。 「労働とは一体何なのか」と、たかだか3,500円の利益が出ただけで、当時の私は随分なイキりようであった。 その日からだ。自分の保有株の動きが気になって仕方がなくなった。通勤電車、デスク、果てはトイレの個室。あらゆる場所でアプリを開き、数秒ごとに更新される数字に一喜一憂した。 しばらくの間、数千円のために仕事が手につかなくなる。これは個別株投資が孕む、最も身近で恐ろしい副作用だ。

期待を裏切る魔の言葉「織り込み済み」

投資を始めたての頃は、知識がないにもかかわらず、なぜか物事がうまく運ぶ時期がある。 私が保有していたIT企業が「新アプリのリリース」を発表した際、株価は5%ほど上昇した。 含み益は1万円を超え、私はますます気を良くして、残りの預金の多くを複数の株の購入に充てていった。 しかし、待望のアプリ発売日。株価は跳ね上がるどころか、微動だにしなかった。 それどころか、翌日からじわじわと値を下げ始めたのだ。 新アプリというポジティブな材料が出たのになぜ上がらないのか。全く理解ができなかった。 必死に調べて辿り着いたのが**「織り込み済み」**という言葉だ。 市場は常に未来を先読みする。新アプリの発売という情報は、すでに発表の時点で株価に反映されており、実際の発売時には「材料出尽くし」として売られるのだという。 この言葉は、今でも私の記憶に深く刻まれているマジックワードだ。 ニュースが出てから動くのでは遅い。市場の冷徹な論理を、身をもって知ることとなった。

傷の舐め合いが渦巻く投資掲示板の罠

株価が下落すると、人間は自分を肯定してくれる情報を探し始める。 私が足を踏み入れたのは、Yahoo!ファイナンスの個別銘柄スレッドだ。そこには、同じ株を持つ者たちが集まっていた。 「今回の下落は織り込み済み。今が絶好の買い場だ」 「機関投資家の振るい落とし。耐えて買い増すべき」 「次回のアップデートで間違いなく爆発する」 今思えば、これらは損失を抱えた者たちが、自分たちの「損切りできない弱さ」を正当化するための書き込みに過ぎなかった。しかし当時の私は、その楽観的な言葉を鵜呑みにし、損切りせずホールドを続けてしまった。当然のごとく、株価はさらに下がっていった。 数万円の含み損を抱えたある日、掲示板を覗くと、数週間前と全く同じ内容が投稿されていた。「前回のアップデートは織り込み済み」「機関投資家の圧力が……」「次回のアップデートでは……」。 そこは情報を得る場所ではなく、損をした者同士が傷を舐め合い、現実を直視しないための場所だったのだ。私は静かに掲示板を見るのをやめた。

ボロ株への特攻とSNSイナゴ投資の末路

失敗はさらに続いた。一発逆転を狙って「倒産しそうな超低位株」に手を出したこともある。いわゆる「ボロ株」だ。上場廃止にならなければ数倍になるというギャンブル。結果は無残にも、その企業は再建できず、私の資金は電子のゴミへと化した。 また、「話題の銘柄」に飛びつく投資でも手痛い洗礼を受けた。SNSで誰もが「買いだ」と騒いでいるとき、そこはすでに**「天井」**なのだ。私が買った瞬間に価格は急落し、含み損を抱えたまま塩漬けにする。

市場から退場しないための鉄則

これらの経験から得られた教訓は、極めてシンプルだ。「自分の理解できないものに投資しない」「他人の言葉で動かない」。10年という月日と多額の授業料を払い、私はようやくこの基本に辿り着いた。 株式投資において、最も重要なのは「勝つこと」ではない。「市場から退場しないこと」である。 日常生活を破壊するようなリスクを取らず、不確かな情報に惑わされない。市場の残酷さを理解した上で、淡々と自分のルールを守り続ける。これこそが、10年の失敗を経て私が得た最大の資産だ。 株は劇薬にもなり得るが、正しく扱えば人生を豊かにする道具にもなる。私の無様な失敗談が、読者の投資生活における「反面教師」となれば幸いである。市場は明日も開く。冷静に、賢明に歩みを進めていこう。

  • この記事を書いた人

HIKARU

横浜市在住のIT企業に勤める36歳サラリーマン 家では1児のパパ、在宅勤務の長期化を受けてブログを始めるに至る。

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